RFPを出して複数社から提案が集まったあと、多くの発注者が突き当たるのが「どう比べればいいのか分からない」という問題です。各社の提案書は構成も粒度もバラバラで、見積金額は倍以上開くことも珍しくありません。本記事では、提案書の評価軸の作り方と、見積書の読み方を解説します。
評価軸はRFPを出す前に決めておく
大原則として、評価軸は提案が届いてから考えるものではありません。届いてから作ると「印象の良かった会社に合わせた軸」ができてしまいます。RFPに評価の観点を明記しておけば、ベンダー側も的を絞った提案を出せます。
標準的な評価軸の例(配点は目的に応じて調整):
- 要件理解度(25点) — こちらの業務・課題を正しく理解しているか。RFPの言葉をなぞっただけの提案は要注意
- 実現方法の妥当性(20点) — 技術選定の理由が説明されているか。流行語の羅列ではないか
- 体制と実績(20点) — 実際に手を動かす人は誰か。類似案件の実績はあるか
- 価格(20点) — 金額そのものより「内訳の透明性」を評価する
- 保守・運用(15点) — 納品後の体制・費用・対応時間。ここが空欄の提案は後で困ります
見積書で必ず確認する項目
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 前提条件 | 「◯◯はお客様支給」「△△は含まない」の一覧。ここが追加費用の火種です |
| 工数の内訳 | 設計・実装・テストの配分。テストが1割未満の見積もりは品質リスクあり |
| 体制単価 | 誰が(PM/シニア/ジュニア)何人月か。総額だけの一式見積もりは比較不能 |
| 検収条件 | 何をもって完成とするか。曖昧なままだと検収でもめます |
| 変更管理 | 要件変更時の扱い。単価と手続きが書いてあるか |
| 保守費用 | 月額と対応範囲。初年度無償でも2年目以降の金額を確認 |
「安い見積もり」に潜む3つのパターン
1. スコープを狭く読んでいる
RFPの曖昧な箇所を最小解釈で見積もると金額は下がります。契約後に「それは含まれていません」が始まるパターンで、最終的な総額は高い方の見積もりを超えることがよくあります。曖昧さはRFP側の責任でもあるため、発注前に質疑で潰しておくのが防御策です。
2. 若手中心の体制で単価を下げている
単価の安さは体制表に表れます。設計をリードする経験者が誰か、その人は何%この案件に入るのかを必ず確認してください。
3. 戦略的な赤字受注
初回案件を安く取り、保守や追加開発で回収するモデルです。それ自体は悪ではありませんが、保守の単価と拘束条件(他社に引き継げるか、ソースコードとドキュメントは納品されるか)を契約前に確認する必要があります。
質疑応答は「無料の実力テスト」
提案前の質疑応答(Q&A)は、ベンダーの実力が最もよく見える場面です。質問の質が高い会社は、業務を理解しようとしている会社です。逆に、質問がゼロのままRFP通りの提案を出してくる会社は、契約後に認識齟齬が噴き出すリスクが高いと考えてください。
まとめ|比較できる状態を作るのが発注者の仕事
相見積もりの成否は、提案が届く前——RFPの品質と評価軸の設計——でほぼ決まっています。シャノンでは、開発会社としての相場観をもとに、評価軸の設計・見積もりの妥当性チェック・ベンダーへの技術的な質疑対応を発注者側でお手伝いしています。自社が候補に入る場合は評価から外れる形を取るので、中立的なセカンドオピニオンとしてもご利用いただけます。
